平成20年12月1日(現行制度の施行日)以降、社団・財団法人の設立・運営等は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律に準拠して行われることになりました。この法律に基づき設立された一般社団法人又は一般財団法人のうち、行政庁(内閣総理大臣又は都道府県知事)の認定を受けたものが公益社団法人又は公益財団法人となります。
注 以下、法令は次のとおり表記しています。
区 分 | 内 容 |
一般社団法人 | 一般社団法人とは、その社員になろうとするものが共同で定款を作成し、これに署名又は記名押印して、公証人の認証を受けた後、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立する法人です。 |
公益社団法人 | 公益社団法人とは、公益目的事業を行う一般社団法人のうち、公益認定法第5条の認定基準を満たし、行政庁の認定を受けた法人です。 |
一般財団法人 | 一般財団法人とは、設立者が定款を作成し(又は設立者が遺言で定款への記載事項を定め場合は遺言執行者が定款を作成)、これに署名又は記名押印して、公証人の認証を受けた後、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立する法人です。 |
テキスト | 公益財団法人とは、公益目的事業を行う一般財団法人のうち、公益認定法第5条の認定基準を満たし、行政庁の認定を受けた法人です。 |
一般財団法人においては、評議員会が選任した役員(理事及び監事)、評議員及び会計監査人等が、その法人の業務を執行・監督します。
それぞれの機関については、一般法により設置の要否と主な役割(権限)が定められています。
行政庁による公益認定を受けて公益社団・財団法人となるには、次の要件を満たしていることが必要です。
1.公益認定法第5条に定める18項目の「公益認定基準」のすべてに適合していること。
2.公益認定法第6条に定める6項目の「欠格事由」のいずれにも該当していないこと。
なお、公益認定を受けた後、公益社団・財団法人が「欠格事由」のいずれかに該当するに至ったときは、行政庁は公益認定を取り消さなければならないとされています(公益認定法第29条①)。
また、「公益認定基準」のいずれかに適合しなくなった場合は、行政庁の判断により、公益認定を取り消すことができるとされています(公益認定法第29条②)。
そのため、公益認定後も継続して「公益認定基準」への適合に努めるとともに「欠格事由」に該当することのないよう最善の注意を払う必要があります。
「公益認定基準」への適合及び「欠格事由」に該当するか否かは、当事務所へご相談ください。
また、上記を「公益認定基準」との関係で言うと「経理的基礎を有すること」(公益認定法第5条二)に該当し、「開示情報や行政庁への提出資料の基礎として十分な会計帳簿」が整備されていることが求められます。
公益認定等ガイドラインでは、法人が備え付けるべき会計帳簿について、「事業の実態に応じ法人により異なるが、例えば仕訳帳、総勘定元帳、予算の管理に必要な帳簿、償却資産その他の資産台帳、得意先元帳、仕入先元帳等の補助簿が考えられる。区分経理が求められる場合には、帳簿から経理区分が判別できるようにする」とされ、経理体制を整える必要があります。
上記からも分かるとおり、手作業による会計帳簿の作成は、困難といえます。
信頼できる会計ソフトを導入し、事業の実態に合った経理区分や勘定科目の設定を行い、公益法人会計基準に精通した会計専門家のアドバイスを受けながらシステム運用することが最善といえます。現在ご利用のシステムに不安がある場合は、当事務所へご相談ください。
公益社団・財団法人 | 一般社団・財団法人 |
[]内は、区分経理が義務づけられている場合に作成します。 |
注 貸借対照表内訳表及び正味財産増減計算書内訳表 は、移行法人に作成が義務づけられています(整備規則42)。 |
その運営において透明性が確保されていなければならないため、事業年度ごとに「事業計画書等」と「事業報告等に係る提出書類」を作成し、主たる事務所に書類(従たる事務所にはその写し)を備え置く必要があります(公益認定法21①、認定規則27及び公益認定法21②、認定規則28①)。
また、定期報告書類は、行政庁への提出が義務づけられています(公益認定法22①、認定規則37及び認定規則38)。
定期報告書類の作成は、会計帳簿の作成と同様に会計ソフトの導入をお勧めします。日々、適正な会計処理を行うことにより、定期報告書類の作成を効率的に行うことができます。効率化をご検討の場合は、当事務所へご相談ください。
注 法令は次のとおり表記しています。
当コーナーは、『公益公人の会計と税務 第3版』(著者:田中正明、発行:TKC出版)を参考に作成しています。